今月の逸品
ただいま展示中の「今月の逸品」
暁に差し始める微かな光
その微かな光を湛えた姿は
近代日本の黎明を象徴するかのよう
ウランガラス製インク壺・牛乳瓶
大正~昭和初期(約100年前)
道合遺跡/赤羽上野台遺跡(北区赤羽台)
19世紀に入った頃、世界屈指のガラス製品の産地ボヘミア地方(チェコ共和国)で、黄色の着色剤として酸化ウランが用いられるようになる。
ところが、このガラス、暁・薄暮の頃にわずかに蛍光を発することが知られるようになると、ワセリンガラス(ウランガラス)と呼ばれ、広く流行することとなった。
折しも、開化によって急速に西欧技術を導入していた日本にも、この技術は当然伝わることとなる。
その歴史はわずか半世紀ほどであったが、照明器具やクリスタル風の装飾品、果ては日常の牛乳瓶や薬瓶にまで広く利用されていた。
黎明期の東京を象徴するかのような淡い光を是非ご覧いただきたい。