今月の逸品
令和7年3月9日までの今月の逸品
結界の中枢部、姿を再び・・・
邪敵の進入を阻み
寺の法灯を護るは我らの役目
賢瓶(けんびょう)・銅製品・独鈷(どっこ)
江戸時代前期(約350年前)
圓福寺跡(えんぷくじあと)遺跡(港区愛宕1丁目)
これらの金属製品は、慶長8年(1603)に築かれ、現在も出世の階段で有名な愛宕神社のふもとで見つかった。そこは、神社が造営された頃、圓福寺という寺も造営されていた場所である。
その境内と推定される範囲から、約80cm四方の浅い掘り込みが見つかった。
中央には賢瓶という青銅製の容器が、その周りには薄い銅製品8枚が取り囲んで置かれ、独鈷という棒状の金属製法具で固定されていた。
これらは、密教の地鎮の作法に則って配置されていた結界の中枢部と考えられる。江戸時代を通じて、この寺に邪悪なモノが進入するのを防ぎ続けていたのであろう。明治時代初期の廃仏毀釈で、寺が廃寺になった後も、静かにこの土地を護り続け、今回の発掘調査で、再びその姿を私たちの目の前に現したのである。
次回の更新予定
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