今月の逸品

現在展示中の今月の逸品

小さな2つのあなは「なんで!?」

土器に文様をつけるのも、

修理するのも縄を使う。

それが縄文時代の流儀!?

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深鉢

縄文時代(約5,200年前)

多摩ニュータウンNo.471遺跡(稲城市若葉台)

遺跡の調査をしていると、大量に土器の破片が出土する。その様子はまるで縄文時代には土器が潤沢な持ち物であって、壊れると惜しげもなく捨てていたかのように思えてしまう。

ところが、そうした土器の破片を観察していると、小さなあなが対になって開けられているものを時々目にする。

どうやら縄文時代の人たちは、ヒビが入り壊れかけた土器にあなをあけて、縄などの繊維で縛り補強していたようだ。その状態で見つかる例も全国でいくつかみられ、都内では東村山市の下宅部遺跡で発見されている。また更に、黒い塗料が塗られている例もある。漆を塗って補強することもあったようだ。

この土器は壊れかけても粗末にされなかった。縄文時代の「ものを大切にする姿勢」を今に伝える逸品である。

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re_TN471_15_3_193_13e.jpg※縄などの繊維で縛ったイメージ

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