今月の逸品
過去に展示した今月の逸品
中身は何処へ?
戻らぬものと分かっていても
覆水盆に返る日を
夢見ずにはいられない...
母岩別接合資料 A
縄文時代草創期(約15,000年前)
多摩ニュータウンNo.796遺跡(八王子市堀之内)
№796遺跡(№72遺跡)は、南関東屈指の縄文遺跡だ。調査中は何度も新聞記事になり、ヒスイの大珠をはじめとする貴重な出土品も数多く出土している。そのようななかで今回取り上げるのは、石器づくりのあとに残された欠片たち。しかも、この時に作られた石器自体は発見されていない。だが、この資料の凄いところは、もとの石の形がわかるほど接合し、石の選び方、製作手順や、製作の場所、作られた石器が石斧であることなど、完成品からは得ることのできない貴重な情報が中身の代わりにギッシリ詰まっているところだ。
作られた中身は何処に持ち去られたのであろうか。作った本人がどこかほかの場所で使ったのか、他の人の手にわたり遠くに運ばれていったのか...。何時の日か、件の石斧がどこかで見つかることがあったら思わず
"お帰り!"と叫んでしまうかもしれない。
次回の更新予定
次回の更新は11月上旬頃を予定しています。