東京都埋蔵文化財センター
発掘トピックス詳細情報
蛇崩遺跡
よみがな | じゃくずれいせき |
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発掘場所 | 世田谷区池尻一丁目1番4号 |
主な時代 | 旧石器時代、縄文時代、近世、近現代 |
遺跡の特徴
蛇崩遺跡(世田谷区遺跡No.96)は、世田谷区池尻一丁目から下馬一丁目にかけて所在する遺跡です。遺跡は、武蔵野台地南東の目黒台上に位置し、目黒川の支流である蛇崩川左岸のやや舌状に張り出した台地上に立地します。これまでに4度の調査が行われており、縄文時代中期の竪穴住居跡が複数検出され、当時のムラの跡と考えられています。
今回の発掘調査は、都立青鳥特別支援学校の新校舎建設に先立って行われる発掘調査で、蛇崩遺跡の包蔵地範囲の北側にあたる約8,000平米を調査対象とします。(第1図)
第1図 蛇崩遺跡の包蔵地範囲と調査地点(遺跡地図は東京都遺跡地図情報インターネット提供サービスより)
トピックス
今回の調査は、令和6年11月から開始しました。5つの区画に分割して調査を進めており、3月現在では、調査地北から西側の区画を終了し、南東側の区画で調査を行っています。
調査の終了した北~西側の区画では、近現代の土地の改変で既に削られてしまっている部分も多くありましたが、西側の区画からは、縄文時代中期の竪穴住居跡4軒を部分的に検出しました(写真1)。特にSI020とした竪穴住居跡はよく残っており、柱穴や火を焚いた炉跡、埋甕等の施設を検出し、縄文時代中期後半の加曽利E式土器を中心とした約2,500点の遺物が得られました(写真2・3)。
現在調査している南東側の区画でも、縄文時代中期の竪穴住居跡を複数確認しており、土器片等の遺物も多数出土しています(写真4)。
蛇崩遺跡は、これまでの調査により縄文時代中期の集落跡と考えられており、今回の調査でその集落がどのような広がりをみせるのか明らかになることが期待されます。まだ大半の区画が未調査ですので、今後の調査の進展をお待ちください。(2025年3月現在)
写真1 A2区遺構分布オルソ画像
写真2 竪穴住居跡(SI020)
写真3 竪穴住居跡(SI020)土器出土状況
写真4 南東側の区画での遺物出土状況(縄文時代中期後半の加曽利E式土器)